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テッド・チャン「商人と錬金術師の門」

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テッド・チャンはあるテーマに興味をもったら
それについての思考実験を物語という形でやり抜き
その結果を無駄のまったくない表現で彫琢する。
どの作品を読んでも
そこに込められた思考の厚みを感じることができ
再読、三読でも新たな発見を得られる。

「商人と錬金術師の門」は
タイム・トラベルをテーマにしている。

タイム・トラベルはアインシュタインが
時空連続体を数式で表わして以来
理論的には可能だと分かり
具体的なタイムマシンがいくつか
科学者によって提案されてもいる。

この作品では、明言されてはいないものの
キップ・ソーンのワームホール型タイムマシンが使われていて
過去にも未来にも行けることになっている。

そして作中人物たちは
各自の意図をもってそのマシンを利用するのだが
作者は過去も未来も変えることはできない
とはっきり言う。

つまり、起きたことも
起きつつあることも
起きるだろうことも
変えようがない形で決まっている
そう言っているわけで
タイム・トラベルというテーマに対して
テッド・チャンは決定論を結論とし
人の自由意志は幻想とみなしている。

ただ、そんな決定論的な世界においても
タイム・トラベルによって
人の生きる歓びも
過ちを償って得る救いも
より強くなることが物語になっていて
話の締めくくりで得られるカタルシスは強く
滋味が深くて温かい感動をもたらしてくれる。
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