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直腸がんステージⅣ診断後1年の心の変化 10

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残りの時間がそう長くないと思ったとき
その時間をどう生きたらいいのか
いろいろ迷ったが
1つだけ、はっきりした願いがあった。

がんの診断後
手術で入院をしたときのことだった。

術後に病室で目覚めると
夢を見ていたことを思い出した。

その夢に自分が出ていたので
驚きというか
意外な感じというか
不思議な気がした。

夢のなかで
自分の姿をはっきり見るというのは
はじめてのことに思えたからだろう。

その自分は
地中海ブルーの手術着を着ていた。

それが手術着であることは
ベッドで寝ている自分が着ていたものと
形が同じだったのですぐに分かった。

あれは自分の分身なんだろうか
と思った。

夢のなかの自分は
ベッドを降りて
病室から出ていくようだった。

その様子を、夢は
天井からのカメラでとらえるように
斜め上から俯瞰していた。

夢のなかの自分は
なぜか
屈託のない笑顔を見せていた。

若いころの自分に思えた。

夢のカメラに向かって
はっきり微笑んだようにも思えたが
それは夢を思い出そうとする努力が
勝手に編集したシーンかもしれない。

ただ、その笑顔が
混じりけのない感情から
来ていることは明らかだった。

しかし、あんなに素直で
明るい笑顔をしたことなど
自分の記憶にはなかった。

現実には姿を現わすことのなかった
ナイーブなままの
潜在的な自分。

その可能性について考えていると
そのナイーブさがこころのなかに広がり
ベッド上でいろいろなチューブのつながった現実の自分は
涙を流し始めた。

それは自己憐憫の涙だったのだろう。

だから、ナルシスティックな自分の
もろさを表わすものだと思うが
ともかく、涙を抑えることはできなかった。

しばらくすると、
担当の看護士さんが入室してきたが
そのときもまだ涙は出つづけていた。

看護士さんはその様子を見ても
とくに表情を変えることなく
いろいろ処置をして出て行った。

自分は自分に対して
がんになるまでは
あまりに配慮をせず
意志を優先しすぎてきた。

そう思うと
夢に出てきた屈託のない自分に対して
済まない気持ちが湧いた。

そして涙が止まったとき
過去と和解をしたい
と強く願った。
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