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記憶・永遠 7

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自分が望む未来の実現に向けて
プランを立てたり
過去のことをいろいろ
思い出したり
いまの必要にせまられて
衣食住に配慮したりと
時制に対応する意識は
未来モード、現在モード、過去モードに分けられる。

これらのモードはどれも
心の働きの一部を使っているだけで
それに比べると
マドレーヌの味覚が幼年期の自分の体験を
丸ごと再現させるといった
過去の記憶の現在におけるまったき再生という体験は
3つのモードを総合したもので
時間経験の充実度という点では
最上のリアリティをもつ。

プルーストはそう考えていたようだ。

「かつて聞いた音や、
かつて呼吸したにおいが、
同時に現在と過去のなかで、
現実的ではあるが現在のものではなく、
観念的ではあるが抽象的ではないものとして、
ふたたび聞かれたり呼吸されたりすると、
たちまちふだんは隠れていた事物の
恒久的な本質が解き放たれ、
私たちの真の自我、
ずっと前から死んでいたように見えたこともあったが、
しかし完全に死んでいたわけではないこの自我、
それが今や目ざめ、
天からもたらされた糧を受けて
生き生きと活気づく」

音やにおいといった事物の本質の味わいが
歓喜に満ちた体験になっている。

これらの事物の存在は
ふだんの意識の時間モードでは
うまく捉えられない。

「この存在は、
現在時の観察のなかでは衰弱してゆく。
現在時の感覚だけの力で
事物の本質をもたらすことなどできないからだ。
過去の考察においても衰弱してゆく。
その過去が知性によって
ひからびたものにされているからだ。
未来への期待の場合も同様で、
未来は現在と過去の断片をもとに
意志が築きあげるものだが、
意志はそうしたもののなかから、
自分の指定する実用的な目的、
狭い意味で人間的な目的にふさわしいもののみを
保存することによって、
いちだんと現実性を奪っているのである」

ふだんの生活では
意識は未来か過去か現在か
どれかのモードに入っていて
そうしないと生活がうまく進まないのだが
現在における過去のまったき再生では
全モードが働き
それが最高度のリアリティを生む。

これは自分の過去を愛でるといったことではなく
時間の働きの秘密の体験というか
人の生の実相体験なのだろう。
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