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「ふたりのベロニカ」2

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この作品はポーランドパートとフランスパートの
2部構成になっているが
その2部の内容は対称的に構成されている。

ポーランドパートは
棺に入れられたベロニカに
土がまかれるまでだが
フランスパートでは
そこまでのプロセスが
時間の順序も意味も
まったく逆に展開する。

ポーランドパートは扇を開き
フランスパートはその開いた扇を閉じる。

ポーランドのコンサート会場で
ベロニカは歌っている最中に倒れるが
この事態を避けるために
フランスのべロニカは
歌手としてのキャリアを断念する。
ポーランドのベロニカがそうするように
囁いているからだ。

フランスではベロニカを指導する教師は
ベロニカの決心にショックを受け
彼女を思いとどまらせようとするが
うまくいかず、脅しさえする。

ポーランドでは
ベロニカに出会った音楽家の夫妻が
逸材の発見に喜ぶ。

ポーランドとフランスの音楽指導者の情動の波は
正と負の違いはあるが
同じ高さを示している。

ポーランドでは下着姿で
なにか着るように叔母に叱られながらも
窓から老婆を見て
哀れみを感じるが
フランスでは
生徒を叱りながら
やはり窓から老婆を見る。

このようにポーランドでの
死にいたるプロセスに
フランスのベロニカは
ひとつひとつ光を当てて
影を取り込んでいく。

遺言作成のために弁護士を呼ぶ叔母は
離婚訴訟を起こす友人に変わり
露出狂の男は
友人に訴訟で離縁された男に変身する。

では、恋愛はどうなるのか。

ポーランドでは雨に濡れた服を脱ぐように
ベロニカは本能で恋人と結ばれる。
フランスでは結ばれるまでのプロセスが
謎解きのような理知的な要素を含んでいる。

ポーランドでは追いかけて来た恋人が
ホテルの287号室でベロニカの連絡を待つが
フランスでは率直でない相手から逃れるため
ホテルに隠れようとして
ベロニカが287号室の部屋をとる。

本能と幸運と弱い心臓が紡いだ
ポーランドのベロニカ。
彼女はフランスの分身に対して
心臓が弱いのは同じだから
理性と計画でキャリアと恋人を獲得できるように
魂の声でアドバイスをしている。

教会の絵を描いている父親に
ポーランドのベロニカは
「自分がもう一人いるみたい」という。
叔母のところへ行く列車では
車窓にゆがんで映る教会が
ガラス玉の中で倒立するが
フランスのベロニカは
ポーランドで見たその教会を
共有された記憶によって蘇らせ
夢の中で見た後、父親に
「自分が別のところにいるように感じる」という。

こうして開いた扇は
すっかり閉じる。

以上が「ふたりのベロニカ」という物語の表面だが
それではこの表面のどこに
感動を呼ぶエネルギーが秘められているのだろう。
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