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カルヴィーノ「魔法の庭」

20110828 008


この作品は
ジョバンニーノという男の子とセレネッラという女の子が
ある「魔法の庭」に入りこんだ体験を描いたもの。

「魔法」だから話の流れに寓話の自在さがあるが
瑞々しい感覚が丁寧に書き込まれていて
描写はリアルに徹している。

二人の子どもは
「庭の持ち主がやって来たらどうしよう?」と落ち着かず
「いつ何時、出てけと言われて追いはらわれたって仕方ない」と思っている。

魔法で紅茶とケーキが出てくるが
「美しいのに味わうことができない」

庭には屋敷が面していて
その中をのぞくと青白い少年がいるが
この少年もまた「味わうことができない」

「なにやら魔法のようなものが、その屋敷と庭に、ありとあらゆる美しく心地よいものたちに、昔犯した悪事かなにかのように重くのしかかっている、そんな恐怖がたちこめていた」

そこでジョバンニーノとセレネッラはそっと庭を出て
海岸への道に海藻が積みあがっているのを見つけ
それを顔にぶつけあって遊ぶ。

“魔法”は二人の生き生きした力を委縮させた。

この“魔法”は過去を悪事に思わせ
恐怖で支配する。
美しく心地よいものを見えなくする。

つまり、この“魔法”は一種の呪いだといえる。
がんはこのような呪いとして
患者の感性を委縮させる魔力をもっている。

美しさを味わうことを不可能にする呪い。
そこから脱することができるのは
遊びを発明できる子どもたちの感性なのだろう。

※引用はイタロ・カルヴィーノ「魔法の庭」和田忠彦訳より
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