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プルースト 起きたことを尊重する

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生前に祖母を傷つけてしまった記憶は「私」を苦しめるが
「私は感じていた、本当に祖母を思い出すのは、ただ苦痛を通してのみだということを。」

自分が傷つけてしまったときの祖母こそが
祖母のやさしさをもっとも現わす祖母らしい祖母であるとき
傷つけてしまったことによる自責の苦痛なしに
祖母の存在を強く感じることはできない。

本能は苦痛を避けるもので
思い出すことが苦しければ
その思い出は意識から遠ざけられるはずだが
プルーストは苦しみの代償を払ってでも
祖母の存在を慈しみたいので
本能の自動的な反応を認識の力で
無効にしようとする。

さらに「私は苦しむことに執着していただけではなく、みずから望みもせずに不意に身にこうむった苦悩の独自性を、そのままの形で尊重したかった」

この苦しみは自分にとって独自で代えがたいものなので
「私」はそれから逃れようとするのではなく
むしろその苦しみをそのままに「尊重」したい。

プルーストはここで
経験の真正さを重視しているのだろう。

生が提供してくれるものは
自分の意図によって選り好みなどせず
できるだけその純粋な状態のままに
受容しようとすること。
これは生きることに対する
徹底的な貪欲さなのだと思う。

※引用は「失われた時を求めて 第四篇 ソドムとゴモラⅠ」鈴木道彦訳より
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